サンチャゴ巡礼( Camino de Santiago )
キリストの死後スペインでキリスト教の布教につとめていたヤコブ(聖サンティアゴ)は、ユダヤの王によってエルサレムに呼び戻され、斬首されました。ヤコブの復活を恐れたユダヤの王によって埋葬を禁じられた彼の遺骸は、彼の弟子達によって船に乗せられ、海へ。その後スペインのガリシア地方の海岸にたどり着きました。813年、星の光に導かれた羊飼いによってヤコブの遺骸は発見されます。その場所に教会が建ち、コンポステーラ(星降る野原)と呼ばれるようになる。これがサンチャゴ・デ・コンポステーラに向かう巡礼の始まりといわれています。
世界遺産に登録された、フランス国境付近からサンチャゴ・デ・コンポステーラへと向かうフランス人の道が有名です。ですが、地図に示されたように、実はヨーロッパ中から始まる沢山の道が存在しています。ヨーロッパの巡礼者には、自分の街から歩き始めるのが良い、という気持ちがあり、遠くはオランダなどから歩いてサンチャゴ・デ・コンポステーラを目指す人もいます。
西方浄土
実はこのサンチャゴ巡礼以前から、この地には西方へ向かう巡礼の道が存在したようです。スペイン北部に先住したケルト族が西方に浄土があるという信仰を持って、同じ道を歩いていたという説があります。キリスト教には本来この西方浄土という考え方は存在しないはずなのですが、実際にサンチャゴ巡礼路の教会では「西の彼方には天国があります」と話される場合があり、このスペイン北部の多様な歴史を垣間見ます。